光触媒ストッキングは細菌とニオイを分解！酸化チタンと繊維製品2021.03.29
2004年7月、世界で初めて「光触媒技術を応用したストッキングが日本で発売されました」ストッキング自体に抗菌や消臭などの効果がプラスされるようになったのです。光触媒は有機物を分解するため、編地である繊維まで分解してしまう懸念があり、伸縮性の高い極細の繊維であるストッキングに応用されたことは画期的なことでした。
この記事では、女性の健康的で美しい脚をサポートする光触媒ストッキングを切り口に、光触媒が繊維製品にどのように応用されているかを説明していきます。
光触媒ストッキングの特徴と効果
光触媒の技術は、建材や内装材など無機質の材料を扱う分野では幅広く利用されていたのですが、有機質で伸縮性の高い繊維に応用することは困難なことでした。また、光触媒で加工すると生地の風合いや色合いが悪くなるという問題もありました。
それを克服したのが、自社ブランドの品質向上を目指す企業と、特許技術で社会に貢献したいと考えていた企業との共同開発で生まれた技術です。
特許取得の技術
従前の繊維製品の光触媒加工は、バインダーと呼ばれる接着剤で、酸化チタンを編地に固着させて光触媒効果を狙うものでした。しかし、光触媒が繊維やバインダーに直接接しているので、有機質である繊維やバインダーを分解作用によって傷つけたり耐久性を損ねたりしていたのです。
共同開発された特許取得の新技術は、柔軟な結着剤と透明な酸化チタンのナノ（超微細）粒子を使用することで、酸化チタンを編地へ直接固着させずに強力な抗菌効果と持続的な消臭効果の実現に成功しました。
この光触媒処理液は、水溶液なので繊維製品の表面にスプレーするか浸漬して乾燥させるだけで処理が可能です。繊維製品の風合いや色調を損ねることはありません。強い膜でありながら美しい仕上がりを特徴としています。
消臭と汚れの分解
光触媒ストッキングは、紫外線を含む光に当たると悪臭や細菌を分解してくれます。太陽の光だけでなく、蛍光灯やLEDの光でも分解力を発揮します。汗やタバコなどの嫌なニオイを消臭して、素材に残しません。
ストッキングにコーティングされた酸化チタンは、光に含まれる紫外線に当たると、空気中の水や酸素と反応して活性酸素をつくります。この活性酸素が、悪臭のもとになる有害成分や細菌を、水と二酸化炭素に分解してしまうので素材に残らないのです。
触媒作用の基材である酸化チタンは変化しないので、光が当たり続ける限り、効果は持続的です。光触媒ストッキングは、洗濯による品質の低下も少なく、部屋干し中に吸着する嫌なニオイも分解します。光が当たらないときでも悪臭を吸着していて、光が当たると分解作用を開始する優れものです。
光触媒が応用されている繊維製品
新型コロナウイルス感染が私たちの生活に大きな影響を与えているなか、光触媒技術の繊維製品への応用は、抗菌・除菌目的で新たな広がりをみせ始めています。通常の除菌や抗菌に、光触媒による持続的な除菌・抗菌効果をプラスすれば、より強力な抗ウイルスの手段となるはずです。光触媒加工された繊維製品の重要性はますます高まっていくでしょう。
ここでは、光触媒が応用されている繊維製品全般について見ていきます。
スーツ・カジュアル
完成された繊維製品に光触媒を後加工して、消臭や抗菌、抗ウイルスに対応した製品として販売することが一般的になりつつあります。
屋内や人込みで仕事をされる方の衣服は、男女の区別なく、さまざまなニオイや汚れがつきやすいものです。スーツからカジュアル、着物や子供服までさまざまな衣類に光触媒コーティングが可能です。
スポーツ・ユニフォーム
汗や汚れがこびりつきやすいスポーツ用衣類にも、光触媒コーティングは効果を発揮します。水や氷の影響を受ける水泳競技やスキー・スノーボードにいたるまで応用可能です。
また、衛生と清潔が厳格に守られる医療現場で、ドクターやナースが着るユニフォームにも利用されるようになっています。
寝具・インテリア
室内で発生しやすい環境汚染物質が、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドです。寝具やインテリアに光触媒コーティングすることによって、これらの環境汚染物質は持続的に分解されていくのです。
照明器具の表面に光触媒でコーティングすれば強力な光触媒作用を期待できます。また、室内のガラス面を光触媒でコーティングすればくもりづらくなり、汚れのセルフクリーニング効果を発揮します。
光触媒ストッキングまとめ
光触媒は、ストッキングをはじめ、多種多彩な繊維製品にコーティングされている様子を見てきました。光触媒が無機質な建材や内装材、塗料だけでなく、有機質の繊維製品にも応用できるようになったことで、私たちの生活は一段と清潔になっていくはずです。
新型コロナウイルスに負けないためにも、この流れに加速をつけていくべきでしょう。