光触媒塗料の最新事情!知っておくべきメリットデメリットも詳しく2021.04.05
光触媒塗料は酸化チタンを主成分として、強い酸化力で大気を浄化し、汚れを分解する塗料です。太陽光や蛍光灯の光に含まれる紫外線により活性化し、大気浄化、抗菌・抗カビ、汚れの分解を可能にします。
光触媒塗料は、外装では耐久性が高く長持ちすると同時に、有機物の汚れを分解、排気ガスに含まれた窒素化合物を硝酸イオンにして雨で流しやすくします。内装では、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどの環境汚染物質を分解し、ペットやタバコのにおいを消し、カビやウイルスの繁殖を防ぎます。
この記事では、光触媒塗料が、どのようにして私たちの暮らしを快適にしているかを解説します。
光触媒塗料の特徴
光触媒塗料はこれまで、太陽光の下で酸化チタンが起こす触媒作用を利用し、汚れを分解して落とすセルフクリーニング機能を特徴としてきました。ただ、太陽光の照射が弱まる室内などでは効果の発揮が低下するという指摘があったのです。
現在では改良され、蛍光灯やLEDなどの室内光でも防汚・防臭作用が発揮される「可視光型光触媒」が誕生しています。これにより従来からあった太陽光に頼る光触媒は「紫外線型光触媒」と呼ばれるようになりました。
ここでは、この2つの光触媒塗料について見ていきます。
紫外線型光触媒塗料
おもに屋外用として使用される紫外線型光触媒塗料には、以下の2つの難しさがありました。
・ 有機樹脂バインダー(固着剤)を分解してしまう
・ 無機系バインダーは光触媒塗膜を覆って触媒活性が低下する
そこで開発されたのが「無機系多孔質バインダー」です。これにより、屋外での光触媒塗料の用途は大きく広がりました。よりハードな場面で、有機物汚れを酸化分解し、大気浄化と抗菌を可能とする光触媒塗料としての役割を果たせるようになったのです。
建築物の外装材だけでなく、ガードレールやアルミ遮音壁などで大きな効果を発揮しています。
可視光型光触媒塗料
まず、可視光型光触媒について説明しましょう。
酸化チタンに窒素を加えると、可視光でも十分な光触媒の機能を発揮するという研究を実用化したものが可視光型光触媒塗料です。可視光型光触媒が内装材をはじめとする生活全般に本格的に利用されるようになれば、需要は桁違いに拡大すると期待されています。
可視光型光触媒塗料は、超低臭・消臭・抗菌・抗ウイルスの機能を発揮します。特に使用を推奨されているのが、住宅、教育・商業施設、病院などの防臭・防菌に配慮したい建物の内壁です。各塗料メーカーは、この可視光型触媒をベースに独自技術を付加して、さまざまな塗料を販売しています。
光触媒塗料のメリットについて
ここでは、内装・外装問わず、光触媒塗料ついて一般的にメリットとされている点をまとめました。
・塗料の中で1番耐用年数が長い(約20年)
・汚れが非常につきにくい
・セルフクリーニング機能がある
・有機汚れ(カビなど)が発生しにくい
・除菌効果がある
・ニオイを分解する
・空気を浄化する
以上の効果を発揮させるのが、光触媒の酸化分解作用と超親水性です。
光触媒塗膜が汚れをつきにくくし、ついた汚れも分解していきます。分解された有機汚れは雨に馴染みやすいため流れて落ちます。このような効果が持続していくので、素材表面との剥離が起こりにくく塗料としての耐用年数が長くなるのです。
室内においても、可視光型光触媒塗料は、室内の環境汚染物質やニオイ成分を酸化分解して消滅させてしまいます。従来の消臭剤のようにニオイ成分を別の成分で包み込んで消臭するのとは根本的に違います。
光触媒塗料のデメリットを知る
光触媒塗料のデメリットとされる点も見ておきましょう。おもに屋外での塗装のことが多いようです。
・光がとどかない部分は効果が出にくい
・雨水が当たらない場所では汚れは流れ落ちない
・無機質系の汚れ(土砂・サビなど)は分解しない
高い建物に囲まれている、隣家との間隔が迫っているなどの場所では、光や雨が当たらず効果が期待できないとされています。また、無機質系の汚れにも対応できないとされているようです。
最新の光触媒塗料には、独自開発した新素材を配合したハイブリッド塗料があります。光の当たりにくい部分はナノ分散された新素材が超親水性の機能を発揮できるようにしたものです。
光触媒の技術は日々進化しています。今、光触媒塗料のデメリットとされていることも近い将来クリアされているでしょう。
まとめ
光触媒を利用した塗料は、セルフクリーニング機能や大気の浄化、防臭・防菌効果まである耐久性の高い高機能塗料です。可視光型光触媒は、その光触媒塗料の機能と用途をさらに大きくしてくれる技術となっています。また、光触媒の機能を補足する新素材を配合しているハイブリッド塗料まで登場しています。
塗料に限らず、光触媒技術の進歩には、これからも目が離せないようです。