光触媒加工の内外装材は高機能!製品の特徴と発揮される効果について2021.04.02
光触媒を応用した製品は、1990年代から、内外装材や繊維などの市場に投入され始めました。2000年代に入ると、カーテンやカーペットなどインテリア業界にも光触媒加工した製品が流通するようになります。そして現在では、医療や農業など、さまざまな新しい分野で光触媒を応用した製品が実用化されるようになっているのです。光触媒加工された製品は、応用分野の拡大だけでなく、既存分野での進化も遂げています。その一例が、建材を含む内外装材の分野です。
この記事では、光触媒を応用した内外装材の現状を見ていきます。
光触媒加工された内外装材共通の問題点を解決
光触媒がもつ重要な働きである酸化分解力と超親水性が製品として最初に実用化されたのが内外装材です。
光触媒は自然の恵みである太陽の紫外光と安全無害な酸化チタンが織りなす人や環境にやさしい作用です。光触媒を表面にコーティングしたり、内外装材を構成する層の一つに光触媒層を用いたりすることで製品化されてきました。
ただ、問題となる点が2つありました。
・光触媒は有機物を分解するため内外装材の基材(有機物)にも影響を与えてしまう
・紫外光が弱まる室内などでは光触媒作用が低下しやすい
現在この2点は、光によって分解されない無機物の利用や基材と光触媒を直接触れさせない加工や形状にすることで解決されています。また可視光型光触媒が実用化され、製品の機能性は格段にアップしました。これは技術者や研究者が成し遂げた大きな成果です。
さらに、各企業は、独自のアイデアや研究で特許取得級の技術を付加し、より進化した光触媒製品を世に送り出しています。
光触媒内装材の特徴と発揮される効果
可視光型光触媒の開発により、壁紙や天井材、カーテンなどに空気浄化や抗菌、抗ウイルスの効果が内装材にも付与されるようになりました。
ここでは、光触媒内装材の特徴と発揮される効果について見ていきましょう。
光触媒内装材の効果
光触媒内装材は、VOC(有機溶剤)の影響を抑制し、さまざまな消臭や抗菌、抗ウイルスの作用をします。特にVOCは、重篤なアレルギーを引き起こす要因でもあり、健康に与える大きさから政府をあげて対策がすすめられているところです。
光触媒は、VOCはもとよりペットの不快臭やタバコの臭気、生ごみなどの生活臭も分子レベルで分解・消滅させます。また、吸着したカビやホコリ、塵なども分解し、新たな有害な有機物をつきにくくもしていくのです。有機物を酸化分解する光触媒は、悪玉細菌や健康を害するウイルスにも大きな効果を発揮することが、光触媒工業会などによる検査試験で実証されています。
光触媒内装材の特徴
従来、光触媒内装材はトップコートとして使用されていましたが、現在では、光触媒酸化チタンを塗材に混入しているタイプが主流になりつつあります。例えば、大理石紛などの無機質系材料と合わせることで基材に影響を与えることなく、光触媒作用が発揮されるようになっているのです。
また、壁紙やガラスなどの表面に、独自技術による特殊な形状の酸化チタンをコーティングすることで、基材に影響を与えることなく、均一な光触媒コーティング層をつくることにも成功しています。これらは、可視光型光触媒による作用のため、あたたか味のある柔らかな明りにも対応できます。
光触媒外装材の特徴と発揮される効果
光触媒外装材は、光触媒の酸化分解力で汚れを分解し、超親水性の効果により雨で汚れが流れ落ちやすくなります。これが他の外装材には真似できないセルフクリーニング効果です。
さらに、各メーカーによる独自技術は、より強力で魅力的な光触媒外装材を世に送り出しています。
光触媒外装材の効果
光触媒外装材の効果を、以下にまとめてみました。
・セルフクリーニング効果があるためトップコートが不要で美しさが長持ちする
・塗膜全体に撥水性と親水性を兼ね備えているため汚れにくい
・色あせ・剥がれ・浮きなどが起こりにくい
・結露しにくいのでカビなどが生えにくい
・大気浄化・消臭・抗菌の効果が実証されている
光触媒外装材の特徴は、防汚性と耐久性でしょう。さらに外壁に付着したウイルスや菌を不活化してくれます。塗料の色を変更したい場合、一般的な塗料のように在来塗料を剥がさなくても、洗浄すれば塗り重ねることができるのも大きなメリットといえるでしょう。
光触媒外装材の特徴
光触媒外装材関連で、最も新しいトピックとして紹介したいのが、紫外線吸収剤を含んだ3層コーティングを特徴とした外壁材です。表層には光触媒コート、次に無機質系樹脂のセラミックコート、そして紫外線吸収剤を多く含む高耐候性コートの3層コート外壁材です。この3層の内側に着色層と基材があります。
この外壁材は、一般的な外壁材の厚みである16㎜に2㎜プラスされた18㎜ですが、内部に空洞を開けた中空構造で、厚さと軽量化を同時に実現しています。サイディングなどの外壁材は厚みを持たせることで、さまざまな造形を造り出すことができるのです。
また、有機系塗料のアクリルやウレタン、アクリルシリコンなどを使用せず、無機系材料(自然素材)を主体とした光触媒塗材が登場しています。浮きや剥がれ、色あせがなく耐候性が優れているため高い評価を得ています。
まとめ
光触媒内外装材は、可視光型光触媒技術や無機質系素材との組み合わせで、従来の問題点を解決しました。そこからさらに各社の独自技術による改善で、より強力で魅力的な製品が登場しています。
いろいろな分野で、人の健康や環境にやさしい製品が歓迎されています。私たちの生活の根本となる住宅の内外装材を、家族の健康や環境という切り口から検討してみるとき、光触媒内外装材の存在ほど大きなものはないでしょう。